俳句高橋将男 俳句は老化防止、脳トレになることがよく知られていますが、一人でも多勢でも楽しむ事ができ、さらに生涯の友となりえる優れものです。そこで当サークルでも五感をフルに使って、色々な角度から対象を観察・記述する力を養う目的で、俳句を取り上げました。

講師には、関西現代俳句協会副会長で結社「槐(かい)」を主宰される高橋将夫氏をお迎えしました。高橋氏は最近では 第6句集『蜷の道』2017年を出版され、全国的にも活躍されておられる俳句指導の第一人者です。

俳句を一言でいうと季語と5・7・5(17音)の、有季定型の短詩です。有季とは季題、季語、季節があるということです。
歳時記では、その季題を分類して解説し例句を紹介しています。季語を集めたハンドブックのようなものもあり吟行などで使われています。

俳句は短歌と違い5・7・5(17音)の定型で言い切ることで、文末には切れ字「や、かな、けり」を使い、感動・詠嘆を表現します。

また、季語は無くても良いとする無季俳句というのもありますが、やはり歳時記に乗っている季語が必要で、少なくとも季節が感じられる 季感 があれば良いと思われます。

定型については、自由律が多く読まれた時期もありましたが今は 有季定型 が主流です。破調といって5・7・5の音数に多少がある句(尾崎放哉、種田山頭火などが有名)や、拗音(きゃ、しゅ)や長音(メールの”ー”の部分)など文字ではなく音を数えるもの、また上5、中7で意味が切れてないでまたがっている 句またがり など多様なものが見られます。

内容とそれを表現する手法では、自然を表現するのは花鳥風月で、客観の写生を基本としてそれに慣れていくと良いと思います。また客観性だけでなく主観を交えた方が良い場合もあります。
また俳句には、直叙(ちょくじょ)と配合と呼ばれる表現方法があり「古池や蛙飛び込む水の音」は直叙と呼ばれる表現で、蛙が池に飛び込み、その水音が聞こえる様を一元的に表現しています。一方配合では、「降る雪や明治は遠くなりにけり」にみられるもので、雪の降る景色と作者の心情 明治が遠く は繋がりが無いが、両者が相まって新たな情景が生まれるという表現です。

さらに、比喩(直喩、暗喩)擬人法の他にオノマトペ(擬音、擬態のこと)の表現があり、例えば「大鯉のぎいと廻りぬ秋の昼 岡井省二」の ”ぎい” は誰も思いつかない擬音ですが何故か納得でき、また情景も浮かぶものです。その他に推敲として、上5と下4の句の入れ替えや、一句一動詞(一つの句の中に動詞は一つ、あるいはなるべく少なく)、名詞挟み(上下にはさまれた名詞がどちらに属しているか紛らわしい場合)などがあります。


会員の作品からは次の7句が講師より選ばれました。

特選◆  氷柱から最初の雫春隣        雅洋
   
秀逸◆  春めくや水彩絵の具新しく      幸代
      春浅し始発電車のアナウンス     裕美子

佳作◆  ふるいけやはなびらひとつしずかなる 良行
      寒くてもあたまをあげるつくしんぼ  幸一
      豆を吸い込む 闇を伺う仔犬     博之
      蝋梅にあふるるひかり香をちらし   康子


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