IMG_6192 公益財団法人 竹中大工道具館副館長 西村 章氏に伝統木造建築について伺いました

最古の木造建築物「法隆寺」に代表される日本の伝統建築物は木造が中心で、
歴史的にみても仏教・神社の建築が多く、現存する日本の重要文化財(建造物)
3,878棟のうち、その3分の2は寺社仏閣である。
 ・神社  伊勢神宮、出雲大社など
 ・寺   法隆寺、平等院鳳凰堂、東大寺大仏殿など
 ・住宅  慈照寺東求堂、二条城二ノ丸御殿など
 ・民家  農家 古井家(兵庫県姫路市)
 ・町家  吉島家(岐阜県高山市)

日本建築の構成は、下から順につぎの要素の組み合わせです。
・柱は石で基壇を築く
・柱の上に組物を備える
・軒に隅木を入れる
・屋根は瓦葺、壁は土壁
・軒、屋根を反らす 等の要素から成る。

寺社仏閣は神仏を収める建物で、もともとその中に人は入らないかたちであったが、次第に参拝するための空間が出来、建物が拡大すると伴に様式が複雑になって行く。

仏教文化がはいって来る6世紀から江戸時代の末期までをみると次の様式が観られる。
・大仏様(よう)~ 東大寺南大門
    豪快な大建築で天井は貼らず平屋建て。木材は近地では足りず遠地からも収集。
・禅宗様(よう)~ 円覚寺仏舎利殿
    禅の伝来とともに入ってきた様式で彫刻などの装飾が観られる。
    さらに・補強に貫(ぬき)を使用する、木材をクロスさせる、組物が多く使われるなどである。
    高級なもの程 組み物が多い
・和様(よう)~ 長弓寺本堂
    色んな様式の良いところを集めて作られていて美しい

現在の東大寺大仏殿は宝永6年(1709)に落慶されたもので、近代では明治や昭和に修理を行っている。その木材の調達が課題であり、昭和の修理ではアフリカの木材が使われているらしい。近代になって増加する参拝者の収容から規模がが徐々に大きくなり、例えば西本願寺本堂は東西42メートル、南北45メートル、高さ25メートルと巨大な建造物である。また装飾も盛んになり、東照宮本殿は金具が使われる、彩色や施されるなど絢爛なものが現れてくる。

そうしたなか大工道具の変遷はというと、竹中道具館には掘っ立て小屋の縄文時代から今に至る179種類の道具が収容されている。印象的なのは縦引きの鋸の出現で、江戸時代に発明されるまでは木を斧で割っていたというので驚きです。平安時代建造の寺社の柱や壁を改めて観察したくなりました。昔の職人さんの腕と技に驚嘆します。


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